2010.04.21

思いがけないアイスランドの火山噴火

 

「禍福は糾える縄の如し」とは言うけれど、アイスランドの火山が噴火して今日で6日目を迎える。まだ85、000人余りのフランス人が世界中で足止めを食らっているらしい。天罰(天災!)だから仕方ないけど、航空業界の損失は一日約230億円に上るというからただでなくてさえ不況なのに、また更に不況が上乗せされることになるんだろう。

毎日、イライラしてる客の様子や疲れきって飛行場のベンチでバクスイしてる人の姿がTVで映し出されている。その一方で、AFやKLM,BA,Lefthansa など大手の航空会社ではFacebookを一日何度も更新して情報提供に必死だ。中でも、もっとも素早く大活躍してるのはツイッター。「いま火山灰の位置はどこ?」「どこの飛行場が再開されるの?」「パリにいるんだけどマルセイユまで誰かカーシェアしない?」「東京で足止めされてるんだけど、どっか安く泊まれるところを教えて!」・・・そんなやりとりがいま世界中、いや地球の上空でビューンビューン飛び交ってる。空港関係者の話によれば、当初ツイッターは航空機関連の情報交換手段には数えられていなかったという。でも今回の一件で一番役に立っているのがこれ。完全に市民権を得たようだ。

それにしても、この火山灰騒ぎで大変な目には合わされているけれど、思わぬところで人と人は結びつき連帯感をもって行動することに気ずかされた。どんな逆境下でもブツブツ文句ばかり言って何の問題も解決しようとしない人がいるかと思えば、文明の利器をかしこく使って発想を180度転換してどんなに不安定な外的条件でも前向きにポジテイブに前進しようとする人がいる。まさに人間は考える葦である。いろんな人たちがいてバランスが取れてる社会。でもどっちがハッピーかはいわずもがなである。でもこんな緊急事に悠長にこんなことを考えている自分も随分とノー天気だなと思うのである!

                          (写真  飛行機がまったく消えたパリの空)

vin et culture (2010.04.21)  |  未分類  | 

2010.04.09

パリの3ツ星シェフの厨房を訪ねて

取材でお邪魔したエリック・フレションはパリでも屈指のパラスホテル「ル・ブリストル」の料理長だ。通称”サルコジ大統領のカンティーヌ”(社食)とも言われている。(注 エリゼ宮が目の前にあるから!)昨年のギッドルージュ(ミシュランガイド)で3ツ星を射止めた、まさに名実共にナンバーワンのシェフである。

まるで巨大な工場にいるかのような厨房のど真ん中には水族館のようなガラス張りの”箱”がある。ここがエリックの事務所だ。ガラス張りになっているのはいつでもシェフが全体を見渡せるように考慮してのこと。その中に”ターブル・ド・シェフ”と呼ばれる空間がある。シェフが親しい友人や超VIPを特別に招き入れて新しいレシピを披露したり、悩みなんかを打ち明けてくれる超コンフィデンシャルな場所だ。今回の取材はたまたまサーヴィス風景を写真におさめたかったこともあり丁度、本番真っ最中のライブ取材!ちょっとVIP気分。サンドイッチを頬張ってまずは腹ごしらえするシェフ、そしていざ出陣!次から次へと入ってくる注文を読み上げ、それが客へと運び出されるところまでをきちっとチェック。その度に20人近いスタッフたちは「ウイ、シェフ」と気合を入れる。その様はまるで戦場そのもの。最後の客のサーヴィスが終わるとホッとした表情で戻ってきた彼、普段はあまり怒鳴ったり怒ったりしない。しかし、本当に頭にきたときはスタッフ全員が凍りつくように爆発するのだとニコニコしながら私に教えてくれた!!

彼を取り囲むように右腕のふたりを紹介しよう。メガネをかけているのがローラン、彼はシェフパテイシエ(デザートを創る人)、そしてセカンドのフランクは自分の奥さんと一緒にいるよりエリックといる時間の方が長いと言ってたからまさに女房役。この三人がパリの”3ツ星”を創り出す頭脳集団だ。ただ、ここまでたどり着ける料理人がパリは広しといえども果たして何人いるのだろうか?「料理人は素晴らしい職業です。まさに、ひとりひとりの役割があって、それがつながりあってチーム一丸となって前進していく。」 15歳で料理人になろうと決心した人の何と重みのある言葉だろうか。

vin et culture (2010.04.09)  |  未分類  | 

2010.04.05

ああ日本人よ、もっと自信をもって!

フィギュアスケート世界選手権がイタリアのトリノで行なわれた。高橋大輔選手と浅田真央選手がダブル優勝したニュースは、きっと日本全国を稲妻のごとく駆け巡ったに違いない。なかでも高橋選手は257,70点と今季世界最高点を記録したから文句なしの金メダルだ。

それにしても日本の選手たちは、こちらイタリアやフランスではとても評判がいい。キビキビした動作や礼儀の正しさ、そしてなんと言っても基本技術をしっかりと身につけた練熟した演技はもう圧巻だ。長野オリンピックでブレークした仏のフィリップ・カンデローロは現在はスポーツキャスターとして活躍しているが、浅田選手とキム・ヨナ選手が対決する時には「僕はMAOがまだ15歳の頃から知っている。彼女の才能・努力にはほんとうに脱帽。だからMAOを絶対に応援したい!」と、あたりはばからずに公言していた。一方、別の仏の女性キャスターは高橋選手の大のお気に入り。金メダルを取ったときの彼女の興奮ぶりといったら、それはもう赤面してしまいそう。彼女は高橋選手がどんなに転んでもミスをおかしても絶対に批評などしない。だから他のキャスターたちも彼女の前では高橋選手の批判など絶対にできない雰囲気なのだ。

公平性を求められるスポーツの世界においてキャスターたちがこれほどまでに個人の好みを電波という公共性あるメディアで発言してもいいもんだろうか?ちょっと首をかしげてしまう。しかしスケーターとしての最高の演技で華麗に演じる日本人選手たちの姿は例えファンでなくとも一度、間近に見れば、すっかり虜になってしまう。これぞフィギュアスケートのマジック、いや日本人特有のしなやかさと柔軟さのパフォーマンス、フィギュアというスポーツの醍醐味だ。そんな日本人選手たちの堂々とした姿を目のあたりにして、ああ日本人よ、もっと胸を張って世界に誇ろうじゃないか!もっと自信をもっていいんじゃないか!と、思わず叫んでしまったトリノでの出来事だった。

vin et culture (2010.04.05)  |  未分類  | 

2010.03.09

サイトリニューアルいたしました!

2010年3月、本社ウェッブサイトをリニューアルしました。

vin et culture (2010.03.09)  |  未分類  | 

2010.03.08

『隣人祭り』が遂に映画化!

パリで誕生した市民参加型フェスタ『隣人祭り』も今年で20周年を迎えて、いよいよ5月26日にフランス全国の映画館で『隣人祭り』がロードショー公開されることが決定。早速、監督のダヴィッド・ハダッドさんにお会いして、どんな映画なのかをちょっと教えてもらった。
パリ郊外、モンルージュという町にあるDIG・image cinemaという映画会社の試写室。映像を見ながらダヴィッドさんは技術者のセルジュさんに1コマずつ何度もボビンを早回ししたり後戻しして画面の色や光を調整してもらっている。「設定は5月の夕方7時。もっと初夏らしく明るくして!この場面はちょっとサスペンス調に白黒にしよう・・・」ふーん、映画ってこんな風にして出来あがるんだ、思わず画面に釘付けになっているとダヴィッドさんが横から「どお、おもしろい?」と興味深々。
ストーリーは隣人祭りに参加してもらいたいと躍起になってるコンシエルジュ、でも住民はまったく無関心。そのやりとりが何ともユーモラスで可笑しい。自殺志願の若い女性や、住民とはいっさい関りを持ちたがらないアグッレッシブなおじいさん、TVを観ながら孤独死したおばあさん(実はこのおばあさんが曲者でとんでもない事をしでかしたことが後にストーリー展開で重要な意味をもつ!)・・・、みんなひと癖もふた癖もありそうな住民たちが一ヶ所に住まわなければならない現実に、そこから現代の悲喜劇が始まる!しかし、そんなコンシエルジュも1年後、都市開発によって住んでいたアパートも撤去されて失業に。そこから犯罪に手をそめて・・・と何だかストーリーは思いもかけない方向に展開していく。この続きは観てのお楽しみということで、ダヴィッドさんはいったいどうして隣人祭りに興味をもったのだろうか?
「隣人祭りの数日前からパリでは街中至る所にポスターが貼ってある。それを見て、これって映画なのかな?って思っていたらそうじゃない。隣人祭りというお祭りだということを知った。早速、創始者のアタナーズ・ぺリファンさんに会いに行ったら、実に市民同士のトラブルが結局は市民同士自らが解決していることを知らされたんだ。赤の他人でもおなじコミュニティーに住んでいれば決して他人じゃない。そこに何と言おうか、現代人の希望みたいなのがあるんじゃないのかなって・・・」
今年の隣人祭りは5月28日(金)に決定。丁度、カンヌ国際映画際の真最中で、この『隣人祭り』も会場で常時、上映されることが決まっている。すでにカンヌでは数何前からこの隣人祭りは開催されているが今年はハリウッドの俳優さんたちも隣人祭りに参加してくれたらどんなにステキに盛り上がることだろう!!

メガネをかけているのが監督のダヴィッド・ハダッドさん。画面に陰影をつける技術者のことをフランス語では“エタロナージスト”と呼ぶんだそう。そのセルジュさんは映画鑑賞が大好き。(写真中央)「プライベートで観るときはちゃんとストーリーを観ています。画面の濃淡はその次です!」一番のっぽのパスカルさんは監督の意見に異を唱えるご意見番。(写真右)

ダヴィッドさんと私

試写室で。マンガチックなオープニングシーン、「隣人祭りの垂れ幕の色をもっと明るく!」と指示の声がとぶ。

vin et culture (2010.03.08)  |  未分類  | 

2010.03.05

日本とフランスのオリンピックに対する国民性の違いについて


男子フィギュアスケートの高橋大輔選手、まずは銅メダルおめでとう!
この種目では日本に初めてメダルをもたらしてくれたという快挙。でも高橋選手がもたらしてくれたものはそれだけじゃなかった。大勢の若い人たちがTVに釘づけになって固唾を呑んでいたあの姿、そして銅メダルが決まった瞬間、抱き合ってひとつになって喜んでいた! こんなにまでも若い人たちが喜びを発散している姿を見たのは、もう何年ぶりだろうか? やっぱり彼らにはこぼれるようなこんな笑顔が似合っている。
今回、服装の乱れや記者会見での悪態でひんしゅくをかった国母和宏選手。品格の問題をとやかく言われたらしいけどオリンピックという極限状態でいるひとりの選手にメディアから大臣まで国民全員がこぞって追い詰め、いじめている姿はちょっと異常じゃないか?! 「悪いのはお前だ。いいたいことがあるならメダルを取ってから言え!」。そんな空気に、まだ21歳そこそこの若者が”オトナ”の回答なんかできる訳がない。
所変わりパリ、フランスの男子フィギュアスケートの金メダル候補だったブライアン・ジョベール選手は何度も転がって不測にも16位という最悪の結果をもたらした。その時、彼はメディアに向かってこうはき捨てた。「チクショウ、この呪われたオリンピックのバカヤロー!」普段は貴公子のようにエレガントな彼がこれほどまでに豹変したことにちょっとただならぬ迫力を感じたが、さすがにちょっとやそっとのことでは個人攻撃しない仏メディアも一斉に彼を叩きのめした! 翌日、仏フィギュア連名の会長がジョベール選手に「この大バカ野郎め!」と言い放ったこともおまけに報道した。しかし、その時ジョベール選手はひと言こういった。「・・・正面きって会長は僕にそう吐き捨てました。でもそう言われても仕方ない。この2年間、僕は天狗になりすぎていた。みんなが僕にアドバイスしてくれようとしていたのに耳を傾けようともしなかった。そのツケがいま全部自分に回ってきた。自業自得。会長の言葉をストレートに受け入れよう! 悪夢のようなオリンピックは終わった。早く新たなページをめくって一から出直したい・・・」。やっと王者の風格が戻ってきた瞬間だった。彼は25歳、世界の頂点に立つにはまだまだ逆境のひとつやふたつ乗り越えていかなければならない。しかしオリンピックというものが選手を成長させ、言葉には表せないほど多くのものをもたらしてくれるものであることを今回、日本とフランスのオリンピックに対する国民性の違いから多いに学んだような気がする。

vin et culture (2010.03.05)  |  未分類  | 

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  • 南谷桂子
    vinetculture@wanadoo.fr
    フランス在住
    株式会社ワインと文化社
    代表取締役・ディレクター

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