2013.07.23

「シャトー・ラグランジュ」の大晩餐会を演出した人たち――最後に感謝を込めて

6月20日。シャトー・ラグランジュの「フェット・ド・ラ・フロール」は大成功裡のもとに幕を閉じた。一年前から準備に携わってきた人たちに感謝を込めて。全員の笑顔を最後に、ありがとう!!!

 

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vin et culture (2013.07.23)  |  未分類  | 

2013.07.22

『フェット・ド・ラ・フロール』 ( 花祭り ) 本番開始、数時間前――はたしてバックステージでは?

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いよいよ「花祭り」の当日、フレデリックに電話して「昨夜はよく眠れた?」と聞いてみると、「今朝は全員5時半に厨房に集合させた。ケータリングというのはあらゆる準備を早め早めの段階でやろうとする。肉の火入れも前日・付け合せのジャガイモも前日、とすべてを前日にやろうとする。しかし僕が普段やってるガストロノミーの世界ではキュイジーヌ・ア・ラ・ミニュット、できる限り食べる直前に作るのが当たり前の世界。勿論、1500名と30名の違いはあっても” 美味しいものを食べてもらおう “という気持ちには変わりないはず。だから僕はできる限り作業は当日にやろうと思った。」と、あっさり。

一方、ラグランジュの副会長、椎名敬一氏は雲と雲の切れ間から薄日が差してくるのを心配そうに見上げながらシャトーとVINEXPOの会場を往復している。この「花祭り」はボルドーで2年ごとに行われる国際ワイン見本市の最後を飾る最も盛大なワイン祭りだ。なかでも1500名の大晩餐会はワイン関係者のみならずボルドー市長をはじめ錚々たるスターをゲストに迎える。今年はアラン・ジュペ市長の隣には女優のキャロル・ブーケが 座った。そんな名誉ある晩餐会を主宰することはラグランジュが名実ともにボンタン騎士団からメドックワインを代表するにふさわしいシャトーであることが認められた証しだ。「挙手すれば誰でもがホストシャトーになれる訳ではありません。サントリーがオーナーになって今年で30年。その間の不断の努力・向上心・最新設備への投資などすべての面にわたって世界に誇れる” 最高級のワイン” を提供できることが認められたことです。この節目の年に花祭りが開催できたことをここから喜んでいます。」と満面の笑みをたたえている。

本番開始まであと数時間。写真で追っかけてみた。

 

 

写真上 : 「ボンタン騎士団」の着用する緋色のマント―がすでにラグランジュの会場に到着。セレモニーのはじまりを今かと待ちわびている。

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日仏文化の融合をテーマに会場にはラグランジュの庭から伐採した竹を使った「生け花」が披露された。草月流師範としてパリで活躍する新井里佳さん、5日前から泊まり込みで渾身の作品を仕上げてくれた。

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シャトーの前では地元のTV・新聞に加えて世界中のメディアが取材に駆け付けた。シャッターの音がひっきりなしに聞こえてくる。

 

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1500名の招待客がやってくるとなるとセキュリティーも中途半端ではない。地元の警察・消防署・軍隊までもが出動して設営関係者と入念な打ち合わせが行われた。

 

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晩餐会のサービスを行うソムリエたちは一足早くシャトーのセラー脇にある試飲室でデギュスタションを行っている。また地元のサービス係の男の子たちも、みんな飛び切り若くて今晩の晴れの舞台を楽しみにしている様子だ。

 

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いよいよボンタン騎士団の重鎮がシャトーに登場。雨がポツリ・ポツリと降り出してきた!

 

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アーチ型の天井が美しい樽熟庫は奥行108メートル・幅11メートル。3棟のうち2棟をメインダイニングに残りの1棟が厨房に変身。ケータリング会社「モンブラン」の料理スタッフに陣頭指揮するフレデリック、本気度満開 !  でもfacebookは欠かせない。ワイングラスを入念に磨くサービス係り、モニターをチェックする撮影チーム、マイクで音響も確認。会場内は否が応でも緊張が高まっていく。

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厨房内で働く料理人集団のことをフランスでは” ブリガッド” と呼ぶ。これは軍隊で鍛え上げられた集団も同じように呼ばれる。一度、戦いがはじまれは私語は禁止。否が応でも軍曹の指示に従わざるを得ない。フレデリックも厨房で鍛え上げられたから今回セキュリティーでやってきた軍人たちとは意気投合。フレデリックが最も輝いている瞬間をカメラはキャッチした!

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本番ぎりぎりまで仕込みが続く。前菜の「オマールエビのラビオリ」は会場に到着してから準備がはじまった。TVのインタビューに答えるフレデリック。サービスチームは160人。「アクセサリーは絶対に身に着けてはダメ。結婚指輪だけは例外。爪もきれいに磨いておくこと。私語は慎め。パニックを起こすな、冷静に判断しろ!」メートルドテルのひと言ひと言に全員がうなずく。壁には料理の写真が。細かい作業を要求するフレデリック、ガストロノミーを如何に1500名にサービスするかが問われたディナーだった。だから皿の盛り付けも間違いは許されない。

 

 

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シャトーでは設営作業が急ピッチで進む。雲の切れ間から時々青空が。しかし雨天を想定して招待客をパーキングから会場まで運ぶカートまで出動した。適材適所、いろんな人たちが自分たちの役割をきっちりとこなしている。プロの仕事師たちの大勝利だ!!

 

vin et culture (2013.07.22)  |  未分類  | 

2013.07.18

いよいよ『コマンドリー・ドュ・ボンタン』が試食会に登場――ボンタン騎士団によるワインのチョイス

 

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ケータリングビジネスの名門「モンブラン」社のレストラン内で行われた本番をシミュレーションしたディナー。グレーのクロスに水引きで飾った紫色の蘭や白・ピンクの牡丹、紫陽花など「生け花」が華を添えている。コマンドリー・ドュ・ボンタンのお歴々が真剣に料理とワインの相性についてディスカッション。最後は「美味しい・斬新・オリジナリティー」という高い評価で満場一致。厨房内では夏トリュフの香りがプンプン。料理がひとつひとつ形になっていく。

 

5月23日、いよいよ最後の試食会がボルドーのケータリング会社「モンブラン」で行われた。今回の花祭りのディナーを実際に現場で任されている企業だ。ボルドーではシャトーでパーティーを催すことが多いため、こうしたケータリングビジネスがとても盛んだ。そのなかでも名実ともにナンバーワンを誇るのが同社。そのレストラン内に当日とまったく同じ状態でテーブルセッティングされた晩餐会のシミュレーションが行われた。アペリティフ用のアミューズから始まりディナーの献立4皿がサービスされた。

一方『コマンドリー・ドュ・ボンタン』(通称ボンタン騎士団) と呼ばれるメドックワインの発展・プロモーションを目的に活動を行っている事務局からも7名ほど試食会に参加して「最後の審判」を受けることになる。その中で一番議論されたのがチーズだった。”ラフィット・ロートシルト1990年”のマグナムがサービスされることがすでに決定されているので、今回の” 創作チーズ ” ではこの素晴らしいワインの味がかき消されてしまうのではないか? もっとシンプルな、いわゆるチーズの盛り合わせにしたほうが良いのでは? デザートと見間違うような創作チーズなんてコマンドリーでは前代未聞! 実際に私の隣に着席していた騎士団のひとりは「あれ!もうデザート!?」と主菜がサービスされた後、驚嘆していたぐらいだ。

しかしシャトー・ラグランジュのエイナール社長はきっぱりとひと言。「フレデリックの料理はしっかりとした古典料理をベースに若々しさ・モダンさ・美しさが三拍子揃っている。前菜のエディブルフラワーで飾られたプレゼンテーションは驚きと同時に美しさを演出してくれる、まさに”花祭り”にふさわしい。主菜の牛肉もそのオリジナリティーあふれるカッティング方法、デザートもソーテルヌのデザートワインの黄金色を髣髴とさせてくれるマンゴの色合い・味とすべてがトータルに考えられデクリネゾンしている。それなのに創作チーズの代わりにひとつだけ切り取ったかのようにチーズの盛り合わせにしてしまったら全体のメニューのバランスが崩れてしまう。彼の良さがまったく失われてしまう。」「今回、1ツ星のフレデリックをシェフに迎えた理由は彼の若さや晩餐会に賭ける情熱、やる気だ。こうした隠れた才能を発掘して、なかなか世の中にアピールすることができない若者にチャンスを与えること、それが我々メドックのワイナリーの役目ではないだろうか。」その力強い言葉に私は内心、小躍りするぐらい拍手を送った。

 

 

 

vin et culture (2013.07.18)  |  未分類  | 

2013.07.15

パリとボルドーで試食会は4回――メニュー決定までの舞台裏

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サントリーの本社からも、そしてボルドー側からも試食のために大勢の関係者が駆け付けてくれた。今回のディナーを手掛けるケータリング会社「モンブラン」のシェフのミシェルとはとことん話し合いが続けられた。パリのシモナンさんの厨房で。

 

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各3皿ずつトータル9皿の料理を試食した。どれも甲乙付け難い出来栄えだったが議論の中心になったのは1500名に果たして同じクォリティーでサービスできるのか? 作り方が複雑すぎないか? ワインとの相性は? 甲殻類がダメというアレルギー体質のひとがいる場合には何で代用するのか? 宗教によっては食べられない禁止食材もあるのではないか?・・・ そういった細かいことまでもテーブルでは延々とディスカッションが続けられた。こうしてチョイスされたメニューはご覧のとおり。

 

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シモナンさんの厨房で。ひとつひとつ丁寧な作業が続けられる。彼は1ツ星シェフだからスタッフが100人近くもいる3ツ星シェフの厨房とは大違い。自分の頭でメニューを考え、構築し、それを形にしていく作業はすべてひとりでこなしていかなければならない。あっぱれである!!

 

 

「花祭り」の晩餐会のメニューを決定するために試食会は合計4回行われた。第一回目はパリのシモナンさんのレストランで。前菜・主菜・デザートを各3皿ずつ提案してくれた。日本テーストを意識したもの、モダンなもの、クラシックなものと、まずは彼の料理のスタイルをみんなに知ってもらうことが先決だ。前菜は「トマトとオマールエビのクラブサンドイッチ」「ブロッコリーのヴルーテと蟹の海水ジュレ、アキテーヌ産キャビアを添えて」。主菜は牛肉を使うことはすでに決まっていたので「分厚いサーロインステーキにピーツのゼリーとベリー系ラズベリー、エシャロットのフォンダン」「ステーキをフライパンでポワレした後、グラッサージュして皿に盛り付け、そこにレモンの葉で香りづけしたコンソメを目の前でサービス」。チーズはトム・ド・ピレネーとパンデピスの創作チーズ。デザートは「マンゴのババロア、ココナッツ風味のフレッシュ・シャンティークリーム」「マンゴのコンフィとシャーベット、ライトなフレッシュクリームを詰め物にしたデリケートな砂糖のドーム」。

どれもこれも繊細でひとつひとつ職人技が発揮された素晴らしい料理だった。しかし35名のガストロノミーレストランで食すには最高のメニューだが、これを1500人分作るとなると果たしてこれだけのクォリティーが保てるのだろうか? しかもワインが主役というスペシャルディナーだから料理はあくまでもワインをおいしく引き立たせるための「脇役」でしかない。しかし、そのあたりはシモナンさんも十分心得ている。「自分・自分と言い張らずにあくまでもワインをおいしくいただくための料理を提供していきたい」と、とても控えめだ。しかし、彼の使う食材の品質の良さに加えて、しっかりしたメリハリの利いた味付け、古典的料理テクニックの習得など「引き出し」がたくさんある料理人だから心配などいらない。結局、全員一致でクラシックなものをチョイスすることになった。

「ボルドーの人たちはパリの一部の超グルメな人たちと違って舌は保守的。奇をてらったものは受け入れない。しかし一方ではワインと料理の相性を十二分に心得ている人たちだから、ただ単にクラシックならばよいかといえばそうでもない。招待客も世界中からやって来るので、むしろシモナンさんらしさのある若々しい今のパリを髣髴とさせてくれる料理に挑戦してほしい。そしてもう一つ付け加えるならば日仏の文化の融合を意識して欲しい!」と、まあ欲張ったリクエストと相成ったのである。果たして今回のメニューがこれからどんな風に進化していくのか? 今から楽しみだ。

 

 

vin et culture (2013.07.15)  |  未分類  | 

2013.07.15

はじめて「シャトー・ラグランジュ」に行った――至る所に日本のエスプリが宿っている

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メドックのサンジュリアン村にある「シャトー・ラグランジュ」を初めて訪れたのは今年の2月21日。真っ青に晴れ渡ったボルドーの空気は凍てつくほど澄んでいた。ここのシャトーで最高級のワイン造りに挑むブレインたち。(右から社長のブルーノ・エイナール氏、すでに引退されたメートル・ド・シェのミシェル・レイモン氏、料理人のフレデリック・シモナン、副会長の椎名敬一氏) アーチ状の天井がとても美しい樽熟庫は奥行108メートル、幅11メートル、2011年と2012年のミレジムの赤ワインが3500~4000個の樽のなかで眠っている。6月の花祭りではこの場所で晩餐会が催される。1500名の世界中の招待客が一堂のもとに集まる光景を想像するだけでもドキドキしてしまう。

 

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ラグランジュのシンボルの3羽の白鳥たちはいつも一緒に優雅にシャトー前の池で泳いでいる。エイナール社長とシモナン・シェフの信頼関係こそが今回の晩餐会を成功に導いた。ラグランジュのブドウ畑は丁度、剪定作業が終わったところだった。春の訪れが待ち遠しい。

 

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「フェット・ド・ラ・フロール」の準備のために行われた第一回目の会合、メドックワインを束ねる「コマンドリー・ドュ・ボンタン」の代表者、設営を担う「コット・ウエスト」、そして料理を担当するケータリング会社「モンブラン」、パリからも「サントリー・フランス」の関係者など今回のイベントのキーパーソンが全員顔を揃えた。入念にシャトーの位置関係をチェックして、どんなフェットが理想的であるか話し合いが行われた。

 

2013年2月21日、はじめて「シャトー・ラグランジュ」を訪れた。パリからサントリー・フランスの三宅智子さん、今回の設営・進行を日本とフランスの間にたって任されているプロデューサーで本当に凄腕のwooさん、そしてシパリの1ツ星シェフのフレデリック・シモナンさんと、その道のバリバリのプロフェッショナルたちと早朝のボルドー行の飛行機に乗り込んだ。いよいよ、このビッグプロジェクトがスタートしようとしている。そんな実感を覚えながら身が引き締まる思いだ。雲ひとつない真っ青に晴れ渡ったラグランジュはとても美しかった。18世紀の白亜の建物が太陽の光で余計にキラキラと輝いている。敷地は157ha、その周りを取り囲むようにして117haのブドウ畑が広がる。白ワインを生産するブドウ畑はそのうちの4ha、ソーヴィニヨン・ブラン60%、セミヨン30%、ミュスカデル10%。一方赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロー28%、プチヴェルド7%の比率で植えられている。多くのシャトーが複数の区画によりワイナリーが点在しているのと違い、ラグランジュは一カ所に集まっているのが特徴だ。

きれいに剪定されたブドウ畑、アーチ型の樽熟庫や広大なシャトーを見学したとき「ここには日本の魂が宿っているね。張りつめた空気、隅々まで手入れの行き届いたブドウ畑、最新の技術に裏打ちされたステンレスタンク・・・そのどれもが日本人の繊細で几帳面な一面が伝わってくる」とシモナン・シェフ。私もそう思う。そして改めて日本人であることに誇りを抱く。きっとメドックの他のワイナリーたちもラグランジュをそんな風に認めているのではないかと思う。どんな花祭りが繰り広げられるのだろうか? この時点ではまだ誰ひとりとして知る由もなかった。

 

 

vin et culture (2013.07.15)  |  未分類  | 

2013.07.14

ボルドー・メドックの “シャトー・ラグランジュ” で 『花祭り』 開催

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ボルドーのメドックといえば世界中のワイン愛好家あこがれのグランクリュを生産する地域として有名だ。そのなかにあるサンジュリアンの『シャトー・ラグランジュ』は1855年のメドックの格付けで3級に位置している。去る6月20日、そのラグランジュで「フェット・ド・ラ・フロール」(花祭り) というお祭りが盛大に行われた。これは2年に一度、国際ワイン見本市としては世界的な規模を誇るVINEXPOがボルドー市を挙げてのビッグイベントとして毎回開催されるが、その最後を飾るのが「ボンタン騎士団叙任式」とそれに続く「晩餐会」だ。世界中から特別に招待された1500名のワイン関係者は全員が女性はローブ・ド・ソワレ、男性はブラックタイにタキシード姿というフォーマルなドレスコードで臨む。そんな名誉ある晩餐会の料理を託されたのがパリの1ツ星シェフ、フレデリック・シモナンだ。

ラグランジュの歴史を辿れば1842年にさかのぼる。その間、所有者は何度か交代しているが、1983年からは日本のサントリーがオーナーとして現在も品質向上を目指して珠玉のようなワイン創りを行っている。ボルドーの老舗メーカーとしてのプライドを保ちながら、また保守色の強いメドックの錚々たるワイナリーに囲まれながらも遜色のないワインづくりを行ってきた不断の努力が実り、90年代には秀逸なワインが次々に誕生している。中でも今回、晩餐会でサービスされた95年の『シャトー・ラグランジュ』は18年を経た今日でも力強さを保ちながらも、とてもエレガントな品のある味わいだ。

こうした背景からシモナン・シェフは日本を意識した繊細な味付けとプレゼンテーションにとことんこだわった。すでに何度か来日しているので日本人のエスプリをとてもよく理解している。しかしここはボルドー。主役はあくまでもワインだ。決して妥協することなく、しっかりとしたシェフらしい味付けでメドック・ワインを一層引き立たせてくれた。そんなシモナン・シェフとラグランジュがどうやって晩餐会に挑んだのか。8か月間にわたるコラボレーションのいくつか、二人三脚で勝ち取った成功を写真満載でレポートする。

 

写真   コマンドリー・ドュ・ボンタン(通称ボンタン騎士団) の叙任式の模様。緋色のマント―を羽織り、泡立てた卵白をイメージした帽子がユニーク。セレモニーの準備をするシャトー・ラグランジュのファサード。晩餐会のメインゲストはボルドー市長のアラン・ジュペ氏をはじめ女優のキャロル・ブーケ。グレーのテーブルクロスに生け花が各テーブルに飾られた。奥行108m X 幅11m の樽熟庫を改装したメインダイニングは圧巻。1500名の招待客はフレデリック・シモナンの料理を堪能した。シャトーの前でポーズするシモナン・シェフは写真を撮られるのが苦手。晩餐会でのメニューを最後に紹介しよう。

≪前菜≫ Homard servi en fines tranches de ravioles de DAIKON, au citrus caviar et agrumes confits, pince à l’éclat de feuille d’OR 

ヨーロッパ産オマールエビのポシェ 薄くスライスしたラビオリ風の大根には柑橘系果汁をコンフィにしたソースをかけて

ワイン Château de FIEUZAL 2010 (白)

≪主菜≫ Boeuf d’Aquitaine et pommes fondantes, condiments au jus perlé, rapée de truffe d’été

アキテーヌ産牛肉のサーロインステーキと夏トリュフ ジャガイモとベットラーヴ エシャロットのフォンダン 黒ぶどうのソースと牛肉の焼き汁を添えて

ワイン Château LAFON-ROCHET 2003 (赤)  Château LAGRANGE 1995 (赤)

 ≪チーズ≫ Tomme de brebis des Pyrénées façon mille feuilles, pain d’épice, confit de griotte au Piment d’Espelette et petites pousses acidulées 

ピレネー産雌羊のチーズ“トム・ド・ピレネー” ミルフィーユ仕立て

ワイン Château LAFITE ROTHSCHILD 1990 (赤)

 ≪デザート≫ “ OPALINE “ de sucre léger, crème Madame et mangue confite au citron rapé et coulis d’abricots, sorbet onctueux

マンゴーのコンフィとソルベのミックス デリケートなクリームをアプリコットの酸味でいただく飴仕立てのプレゼンテーションがオリジナル

ワイン Château SUDUIRAULT 2001 (白)

 

vin et culture (2013.07.14)  |  未分類  | 

2013.07.04

『食会』-Shoku-E で伊藤 文さんが発信 !

パリ在住の食を専門に活動を続ける伊藤 文さん。各雑誌への寄稿から翻訳本、著書など精力的な活動は目を見張るばかりだ。そんな精力的な伊藤さんの活動に最近『食会』( Shoku-E と発音 ) というブログがひとつ新たに加わった。中でも「9715 KM  LE CARNET DE VOYAGE」というコラムは興味深い。パリの3ツ星シェフをはじめ、今、最も活きのいい料理人さんたちに2 時間単独インタビューを敢行。料理のことだけじゃなくて日常のこと・人生訓・座右の書・・・といったその人柄がわかる質問をして自由に語らせるという趣向。料理人たちの言葉にひとつひとつ伊藤さんがコメントをつけないで、そのままストレートに書いているのがいい。それは読み側にとっても現場にいるライブ感がビンビンと伝わってくるからだ。そう、あなたもインタビューに加わってる感じ、それが実に面白い。

そんな伊藤さんが「髙木・シモナンシェフのインタビュー」を2回に分けて書いてくださった。ふたりの料理人はそれぞれ単独で1 時間ずつ。仕込みの合間をぬって笑いやユーモアをこめて、でも生き生きと真摯に語っていたのが印象的だった。こうしたまっとうな取材を通して、これからもどんどん料理人の素顔を紹介してくださいね、伊藤さん!  みんな応援してますよ!

 WWW.SHOKU-È.COM

 

『SHOKU-E』のブログ 髙木一雄バージョンとフレデリック・シモナンバージョンと2回に分けて紹介された「9715KM LE CARNET DE VOYAGE」の表紙より

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vin et culture (2013.07.04)  |  未分類  | 

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  • 南谷桂子
    vinetculture@wanadoo.fr
    フランス在住
    株式会社ワインと文化社
    代表取締役・ディレクター

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