2012.06.22

夏至の夕べはエッフェル塔で !

6月21日は夏至。一年で一番、日照時間が長い日だから、それにちなんで恒例の「フェット・ド・ラ・ミュージック」がパリの街中で一斉に行われた。シャングリラ・ホテルでは様々な装いのエッフェル塔が披露され、”黄色とオレンジ色をどこかに添えて”というドレスコードに集まった人たちも、その華麗な服装は十人十色。なかには黒い革靴の靴ひもだけをオレンジ色に演出していた伊達な男性の姿も!

会場内に飾られていたエッフェル塔のレプリカも実に楽しげな表情だ。暮れなずむパリの夕べ、黒人のサックス・シンガーが奏でるジャズの音色だけが夜遅くまで響き渡っていた。

 

写真  エッフェル塔のレプリカには様々な工夫を凝らした”衣装”が着せられていた

 

vin et culture (2012.06.22)  |  未分類  | 

2012.06.20

『口蓋の誘惑ー中国における調理をすること、そして食べること』 展

 

「すべての食物は思考する価値のあるものである」とはフランスの社会人類学者クロード・レヴィ=ストロースの言葉だが、食べることはやっぱり人間の営みの中では最も楽しいものだということに最近、つくづくと思い当たるようになってきた。いくら最新のファッションに身を包んでも下半身にたっぷりとついた贅肉では絶対にステキに見えるはずもないし、衰えた体力ではどんなに頑張ってもアスリートにはなれない。そうなると人生消去法でいくと残るのはただただ食欲を満たすばかり。でもお腹がいっぱいになれば何でもいいという訳ではない。こだわりとか、どうやって食べればおいしいかとか、季節感のあるものを食べたいとか、いろいろと考えていくうちに、結構食べることって知的好奇心をくすぐってくれるものであることに気づかされる。それが冒頭の言葉に思い至った次第である。

今パリの民族博物館「ケ・ブランリー美術館」では『口蓋の誘惑―中国における調理をすること、そして食べること』展が開催されている。世界の三大料理といえば「中華料理・フランス料理・トルコ料理」と言われたものだが、その賛否は別としても中華料理が世界中を席捲しているのは間違いない。どんな僻地に行っても中華料理屋の看板がないことなどあり得ないし、中華料理を食べたことのない人なんて日本料理を食べたことのない人の割合に比べたら微々たるものだ。そんな中華料理のルーツを器や道具を背景に掘り下げてみようと試みているのがこの展覧会だ。

紀元前7000~2000年、新石器時代の生食から加熱食にはじまり、1644~1912年、満州族の最後の王朝、清の時代の華麗なる料理文化に発展するまでの軌跡を辿っている。なかでも「水」の登場は蒸し料理や食物を清潔に浄化させることの意味をもたらしてくれたり、唐の時代には果物をはじめとする、それまで食卓にのぼったことのない新食材がたくさん入ってきたことで飛躍的に食文化が発展した歴史などなど、興味は尽きない。最後の皇帝、紫禁城では何と6000~9000人近いひとたちが一日12000食もの料理を作っていたというから、そのスケールたるや、やっぱり中国はでっかい。

展覧会の最後を飾るのが7人のアーチストによるユニット”PLEIX”が制作したビデオ。中華料理の回転テーブルからイメージしたそのビジュアルは、まるで水車のようにくるくる回る皿が次から次へと交錯しては消えていく。その鮮やかな色の美しさや精巧な構成には思わず目を奪われる。現代の中国をイメージした赤の漆のテーブルや、どぎつい大輪の花、盛りだくさんの料理といったように大量の消費社会に生きる現代人の矛盾をテーマにしている。

写真  広告制作を多数手掛けているアーチスト集団PLEIX、その緻密な仕事は世界中の数多くの賞を総なめにしている。

 

vin et culture (2012.06.20)  |  未分類  | 

2012.06.19

今日から恒例の『バカロレア』が一斉に開始。

毎年恒例のインタビューシーン。哲学の試験を終えた学生にいち早くマイクを向けるTV局のキャスター。

 

フランス人に生まれてきた以上、必ず通過しなければならないのが『バカロレア』 (通称「パック」) と呼ばれる大学レベルの高等教育資格のためのセンター試験。朝8時、4時間にわたる試験に今年は73万人の高校生たちが挑んでいる。初日は哲学で始まるのがならわしだ。その題目をちょっと覗いてみると、「仕事によって何を得ることができるか?」「スピノーザの神学政治論について述べよ」(文系)  「国家が不在である場合、より人は自由になれるのか?」「ジャンジャック・ルソーのエミールについて述べよ」(理数系)  「働くこととは有益なことばかりなのか?」「ジョージ・バークリーの主観的観念論について述べよ」(社会・経済系) 。

17~18歳の高校生がこんな超難問に向かい合うこと自体、私のような日本人にとっては凄いことだなー! と思ってしまうのだが、しかし哲学カフェや議論好きの井戸端会議がいたるところで繰り広げられるお国柄。 ” 我思う、ゆえに我あり” ( Je pense、 donc  je suis ) というデカルトの格言が日常茶飯事に飛び交っているフランス人の会話を聞くにつけ、「哲学」はやっぱり彼らにしてみれば一種の知的遊戯・頭の体操なのかもしれない。

フランスで大人気の物まねお笑い芸人のニコラ・カンタルーのジョークから。「哲学と言えばギリシア。でも今のギリシア人は哲学よりももっと経済を勉強すれば!!?」 うんうん、これにはさすがの私も納得するのであった。

 

 

vin et culture (2012.06.19)  |  未分類  | 

2012.06.04

仙台市六郷で『隣人祭り』が開催!

フランスでは、今年の『隣人祭り』は6月1日(金)に全国で一斉に行われた。それに歩調を合わせるかのように、仙台市若葉区六郷という町でも『隣人祭り』が行われた。当日、六郷市民センターの会場に集まった方はおよそ60名。津波で家を流され、自力でアパートに暮らす方たちがほとんどで、そうした方たち同士が少しでも交流を深めてもらえるようにと仙台市の市議会議員の佐藤わか子さんや、同じく仙台市で活動を行なうNPO法人「ワンファミリー仙台」の理事長の立岡 学さんが先頭に立って、当日は交通手段も容易ではない中、たくさんの方たちが集まってくださった。

「仮設住宅にはたくさんの支援がいくのですが、戸別にアパートを借りている人たちの支援不足が今の課題です。」と佐藤議員。また10年前にホームレス支援のNPOとしてスタートした「ワンファミリー仙台」も震災後は仮設住宅に住む被災者たちの見守り活動を行い、孤独死や自殺を防ぐために日夜、尽力している。

昨年、震災から間もないころ、仙台市の奥山 恵美子市長とパリのアタナーズ・ペリファンさんがスカイプでつながり、あすと長町の仮設住宅では100名近い人たちが集まり暖をとったのが、まるで昨日のことのように思い出される。あれから一年、現場の方たちの血のにじむような努力に海を越えて世界中が見守っていることを決して忘れないでほしいと願っている。

 

写真 六郷市民センターに集まった被災者の方たち。つかの間の交流に『隣人祭り』を通して世界中がみなさんを応援している。

 

 

 

vin et culture (2012.06.04)  |  未分類  | 

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  • 南谷桂子
    vinetculture@wanadoo.fr
    フランス在住
    株式会社ワインと文化社
    代表取締役・ディレクター

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