2011.08.25
まるでハロウィーンのカボチャの妖怪のようなひょうきんで可愛らしい石灯篭。よく見ると笑顔でほほえんでいる風情がこれまたカワイイ。ここは京都南禅寺にある「大寧軒」と呼ばれる池泉回遊式庭園で、明治時代の茶人、藪内紹智によって造られたものだ。470坪の庭内には優雅な曲線を描く池や茶室も建てられ、飛び石の打ち方や苑路などに趣向を凝らした露地風の庭園だ。なかでも春日型・雪見型・織部型と呼ばれる様々な形の灯篭が目を引く。このほほ笑む灯篭もそのひとつだ。
臨済宗南禅寺派大本山、南禅寺の塔頭寺院であった「大寧軒」は東山三十六峰のひとつ、大日山を借景にした実に美しい庭園で、琵琶湖疎水の取水口から引いてきた水はその落差を利用して3メートルもの滝が勢いよく流れている。夏の京都も、また風情があっていい。特に南禅寺界隈は閑静なたたずまいで知られている。観光的にはシーズンオフということもあり、人はまばら。しかし神社・仏閣では文化財特別公開をしているところが多い。ここも、そのひとつで、ボランティアと思われる定年退職した市役所の元職員(?)が丁寧にガイドしてくれる。
束の間の夏のバカンス。温度計は33℃を越している。でも熱々の湯豆腐でいっぱいというのも、またおつなものである。
写真 南禅寺「大寧軒」の庭園でみつけたひょうきんな石灯篭。