2011.01.02
日本では天皇陛下が新年の挨拶や天皇誕生日など国民に向かって直接メッセージを伝えることはあっても、首相みずからは所信表明など国会で演説する以外は我々国民には直接話しかけたりしない。だから天皇陛下のほうが首相より身近でフレンドリーな好印象を持つのは当然かもしれない。一方フランスでは毎年、大晦日の晩には大統領みずからがTVを通じて約10分間、エリゼ宮から直接、国民に語りかける。支持率26%と、この3年間で最悪のスコアにゆれるサルコジ大統領、それでも強気の姿勢を見せなければならないのはリーダーとしての使命だろう。
今年は何と言っても景気の悪化からくる失業者数の増加。つづいてユーロの混乱、ギリシアやアイスランドの経済破綻による混乱はEUの結束なくして強いユーロは維持できないとフランスのリーダー的立場を強調してみせる。また年金改革も国民のほとんどがゼネストするなかで、その支給年齢を遅らせるなど結局は強行突破した。また2014年の大統領選を意識してか、この3年間大胆に行った様々な改革も結果が見えはじめている。だから、この路線を2014年以降も続けさせて欲しい・・・そんな暗黙のメッセージが伝わって来る。
それにしても世界中が不況の嵐にみまわれている今日、日本だけが元気ないとか欧米だけが遅れをとっているとか中国だけが断トツに景気がいい、などとひと括りではいかなくなっているのが今の状況だ。だから、という訳でもないが「気持ちの持ち方次第で気分は変われること」を私は強調したい。リレー式に流れる世界各国からのカウントダウンの映像、インドでは雪が積もったらしい、オランダでは氷点下の中、水温4℃の恒例の北海の初泳ぎ、ロンドンではビックベンを背景に盛大な花火を打ちあげて次期オリンピックを開催する強いイギリスをアピールする。そして最後には中国の荘厳な除夜の鐘の音で神聖な気分に浸る。人間、どんな逆境に陥っても、そんなほんのちょっとした話題やユーモア・笑いで救われる。その一瞬の「あれっ、という感覚」こそが人間に与えられた最強の武器ではないだろうか。2011年、果たして今年はどんな年になるのだろうか?
写真 エリゼ宮から中継されたサルコジ大統領のメッセージを伝える我が家のTV映像