2016.01.01
恒例の大統領の新年に向けての「祈願」のスピーチが大晦日の夜20:00に行われた。毎年900万人の国民がこの大統領の演説を聞かないと「新年を迎えられない」と言われるほどの高視聴率だ。「今年の演説はいつもとは違う。・・・国民の皆さんを心から誇りに思っている。・・・そして真実を語らなければならない時が来ている。テロリストとの闘いはまだ終わっていない。これは真の脅威である。・・・二重国籍を持つテロリストには国籍を剥奪することも視野に入れている。しかし、国民一人ひとりが引きこもっていたり、過去のノスタルジーに浸っている場合ではない。みんなが一致団結してテロリストに立ち向かっていかねばならない時が来ている。・・・」
” 神はその人間が乗り越えられる試練しか与えない” といった格言は日本だけでなくフランス語にも存在する。もうオランド大統領の限界をとっくに超えたような試練が今、また何度も繰り返されていることに、ちょっと気の毒にさえ思ってしまう。思えば大統領に就任して4年、これまではどことなくぎこちない演説が多くて内心大丈夫なのかとひやひやしていたのだが(事実、大丈夫じゃないから歴代の大統領のなかでは最悪の支持率を更新していた!) しかし、今年の演説ほど決然たる断乎とした態度で現れたのには正直びっくりした。そう感じたのはきっと私だけではないだろう。まるでミッテラン大統領を髣髴とさせる語り口に大統領の威厳すら感じさせてくれる。
今までの「超低支持率」を行き来していたオランド大統領、ひょっとしたらテロリストたちの蛮行によって支持率を上げ、2017年の大統領選にもまた当選するかもしれない・・・。歴史の皮肉というものは本当に分からないものである。
写真 恒例の大統領演説をTVが一斉に伝えている。” Vive la Republique ! Vive la France ! ” でしめくられる。