2015.02.02
例年よりも一ヶ月前倒しで、今日フランス版『ミシュラン2015』が発表された。4337軒の店を網羅、そのうちの609軒が星付きだ。(1つ星503軒、2つ星80軒、3つ星26軒) 今年の3つ星に輝いたのは、パリの「ルドワイヤ」とサヴォア地方の「ラ・ブイット」の2軒、前者は、昨年7月1日に新しくオーナーになったシェフのヤニック・アレノ、後者は1976年にルネ&マリールイズ・メイユール夫妻がサヴォア地方にオープンしたホテルレストランで1990年より彼らの息子のマキシムが加わり、現在は父親とふたり二人三脚で厨房に立つ。店名はサヴォア方言で「小さな家」という意味らしいが、その名の通り家族経営の温かいおもてなしで、すでに世界中のジェットセット族を魅了している。
ヤニック・アレノは昨年の「ゴー・ミヨー」で”その年のベストシェフ”に選ばれたばかりで、まさに今回の3つ星獲得とダブルの勝利だ。古典フランス料理をベースにしている料理人で、ここ数年前からテロワール・パリジャンをコンセプトに、パリ近郊の生産者から食材を仕入れて地産地消に努めている。またフランス料理の神髄でもあるソースをもう一度見直そうと、ビーツやセロリー、古代野菜のパネ、あるいはイベリコハムといった食材を70℃で48時間、真空調理。そこから抽出された液体をブイヨンに見立て「味覚のテキスチャー 」と呼びながら塩分濃度・鉱化・発酵など様々な角度から挑戦を試み、新しい味わいのソースに次々と挑戦。彼の厨房はちょっとした科学実験のラボ(?) 化している。「まるで醸造家が自分好みのワインを創るように自分なりの味わい深いソースに挑戦したい」とヤニックは言う。
ミシュランといえば料理人のバイブルとまで言われている。一時はレストラン覆面審査員によるミシュランの内実を暴露して「ミシュラン離れ」という現象が起こったが、しかし昨年はフランス版だけでも15万部を売り上げた。世界中のグルメがフランスに来るときには必ず携えて旅行するといわれるミシュラン。腐っても鯛、いや腐ってもミシュラン、まだまだその影響力は計り知れないようだ。
写真 今日、パリの外務省ではローラン・ファビウス外務大臣自らの音頭でミシュランフランス版の発表が行われた。左から「ラ・ブイット」のオーナーシェフ、マキシム&ルネ・メイユール親子、ミシュランのマネージャー、「ルドワイャン」のオーナーシェフ、ヤニック・アレノ