2010.04.09
取材でお邪魔したエリック・フレションはパリでも屈指のパラスホテル「ル・ブリストル」の料理長だ。通称”サルコジ大統領のカンティーヌ”(社食)とも言われている。(注 エリゼ宮が目の前にあるから!)昨年のギッドルージュ(ミシュランガイド)で3ツ星を射止めた、まさに名実共にナンバーワンのシェフである。
まるで巨大な工場にいるかのような厨房のど真ん中には水族館のようなガラス張りの”箱”がある。ここがエリックの事務所だ。ガラス張りになっているのはいつでもシェフが全体を見渡せるように考慮してのこと。その中に”ターブル・ド・シェフ”と呼ばれる空間がある。シェフが親しい友人や超VIPを特別に招き入れて新しいレシピを披露したり、悩みなんかを打ち明けてくれる超コンフィデンシャルな場所だ。今回の取材はたまたまサーヴィス風景を写真におさめたかったこともあり丁度、本番真っ最中のライブ取材!ちょっとVIP気分。サンドイッチを頬張ってまずは腹ごしらえするシェフ、そしていざ出陣!次から次へと入ってくる注文を読み上げ、それが客へと運び出されるところまでをきちっとチェック。その度に20人近いスタッフたちは「ウイ、シェフ」と気合を入れる。その様はまるで戦場そのもの。最後の客のサーヴィスが終わるとホッとした表情で戻ってきた彼、普段はあまり怒鳴ったり怒ったりしない。しかし、本当に頭にきたときはスタッフ全員が凍りつくように爆発するのだとニコニコしながら私に教えてくれた!!
彼を取り囲むように右腕のふたりを紹介しよう。メガネをかけているのがローラン、彼はシェフパテイシエ(デザートを創る人)、そしてセカンドのフランクは自分の奥さんと一緒にいるよりエリックといる時間の方が長いと言ってたからまさに女房役。この三人がパリの”3ツ星”を創り出す頭脳集団だ。ただ、ここまでたどり着ける料理人がパリは広しといえども果たして何人いるのだろうか?「料理人は素晴らしい職業です。まさに、ひとりひとりの役割があって、それがつながりあってチーム一丸となって前進していく。」 15歳で料理人になろうと決心した人の何と重みのある言葉だろうか。