2016.10.05
「好きな色」というのは誰にでもあるのだろけれど、私が何と言ってもこの色、というのが”グレー” だ。フランスに住み始めてから色彩に対する感覚が変わってきたような気がする。以前、日本にいたころは割合と原色や明るい色を好んでいたように思う。勿論、年齢的にも若かったし、フレッシュできれいな色を美しいと思っていた。しかし、最近、グレーの微妙な味わいにとても魅かれる。ブルーががったグレー、ベージュががったグレーベージュ、白色ががったチャコールグレー、墨のように黒いダークグレー・・・。遅い夏休みということで、ブルターニュ地方の海岸沿いを訪れた。
低く垂れこめた灰色の雲の下から時々太陽の光がのぞく。海面に反射する海原はまさにブルーの水彩絵の具に水をたっぷりと含ませたグレーを混ぜたような色。海岸に打ち寄せる白波がリリーフを描く。一方、建物に目を向けると花崗岩の堅固な石で建てられたがっしりとした家並みが美しい。巨石文化の地でもある。ケルト文化の影響から、ここは同じフランスでも、むしろイギリスに似ているような感じがする。
そんなブルターニュ地方で見たグレーのグラデーションを堪能してほしい。
写真 ブルターニュの玄関でもあるレンヌという街から西へ小一時間、ビリエという半島の突端にある静かな港町。”Domaine Rochavilaine”で過ごした2日間。様々なグレーに出会う旅だった。