2016.09.11

次世代の光アートをクリエートする石井リーサ明理さんの新たなる挑戦

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光が放つ不思議な浮遊感、照らし出される角度や加減により幽玄の世界を演出したり、あるいは色彩の寒暖によって一瞬のうちに無機質な空間が生き物のように生命を帯びてくる。” Concepteur lumiere ” ―すなわち光の概念を創りだすクリエイターというのが石井リーサ明理さんの肩書である。この分野ではすでにパイオニア的存在として世界的に有名な石井幹子さんを母親とし、現在ではパリと東京で二人三脚で仕事をしている。その作品郡は日本国内では「東京ゲートブリッジ」や「東京タワー」「銀座の歌舞伎座」などのライトアップに代表され、また海外では「メッツのポンピドーセンター」や「ローマのコロッセウム」「ベルリンのブランデンブルク門」など光アートのパフォーマーとして数えきれない作品で世界中から高い評価を得ている。

光の芸術といっても日本ではまだあまり馴染のないものであるが、ヨーロッパではずっと昔から夏の夜空を飾る風物詩の花火と共に生活の一部として取り入れられてきた。たとえば高級ジュエリーのブティックではその光の当て方次第で輝石は120%の輝きを放つことができる。また美術館に飾られているオブジェも光の加減や向きによってアーチストの芸術性を余すところなく堪能できる。「アーチストが絵筆を持つように、私たちは光を自由自在に駆使することによって建物やモニュメントに息を吹き込むのです。」とリーサ明理さん。たとえば尾道にある天寧寺の三重塔、3色の異なった光をライトアップすることによって、また昼間とは違ったまったく異なる幻想的な建物に早変わりする。その様は感動的である。

毎年、9月に開催されるパリの国際インテリア見本市「MAISON & OBJET」には世界中からインテリアデザイナーや建築家が大勢訪れる。光の芸術がインテリアの一部として果たしてどう使われるのか? そんな未来への可能性を探ってほしいと主催者側からの要請で今年は4回目の参加だ。テーマは” WHAT’S LIGHTING DESIGN ? ”

今回は日本の高度な世界最先端技術を駆使した住友化学が開発した高分子有機ELによる照明が目を引く。世界で初めて電極以外のすべてを塗布技術により作成した10cm四方の照明パネルは” 目にやさしい自然な光 ” が特徴だ。そのほかにもオフィス家具のオカムラと共同で働くオフィスの環境を光によって癒しの空間に変えようと、コンピューターのルーターでオフィス内の光を感知して朝は白い光・昼はオレンジと徐々に変化させていくことによって人間の体のバイオリズムに反応させながら疲れを取り除く効果に期待が高まる。

70年代、オイルショックの影響で照明デザインは電力の浪費と受け取られ日本国内では不遇の時期を過ごす一方、「日本に仕事がなくても地球上のどこかにはあるはず」とオイルマネーで建設ラッシュに沸く中東をはじめ海外での仕事をこなし実績を作っていった母親の石井幹子さん。そんな彼女のDNAをもつ娘のリーサ明理さんのパワフルで繊細な感性が次世代の照明技術によって、世界中の建築や都市計画のコンセプトをどんどん変えようとしている。

 

写真 トレードマークの長い黒髪にキリリとした眼差しが印象的なリーサ明理さん。住友化学が開発した高分子有機ELは” 優しい光 ” が特徴。花をイメージした照明の前で。朝日から夕陽まで一日の光の変化が山の稜線をどう浮かび上がらせるかをテーマにしたインスタレーション、まさに光が変化してゆくにつれリラックスさせてくれる。高分子有機EL技術を用いた照明は日本古来の洗練された色調を表現できる。

 

 

vin et culture (2016.09.11)  |  未分類  | 

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  • 南谷桂子
    vinetculture@wanadoo.fr
    フランス在住
    株式会社ワインと文化社
    代表取締役・ディレクター

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