2015.09.26
人生というのは時として思いもかけない結果をもたらしてくれるものである。この写真に写っているふたりの男性、左側の男性をどこかで見覚えのあるひともいるのでは? そう、今年の7月に私のブログに登場していただいた蓜島一匡さんだ。パリ郊外のジャルダン・ド・コカーニュで農業体験を3日間行ない、その後もいろいろな「ご縁」でつながっている。それは今年の6月、琵琶湖で開催された「ソーシャルファーム・ジャパン」のシンポジウムにさかのぼる。フランスのジャルダンを主宰するジャンギィ・ヘンケルさんと来日した私は、シンポジウムが終わるや否や、蓜島さんから「今度フランスに行きます。是非ともジャルダンで農業やりたいんですが・・・」。こうして3日間、パリ郊外のリマン市にあるジャルダンでフランス人スタッフに紛れて心地よい汗を流した。
帰国後、私は茨城県の鹿嶋という場所でトマト・胡瓜・ナス・唐辛子・ゴマ、そしてお米まで作っている蓜島さんを訪ねた。というのも私の先祖がひょんなことから鹿嶋に土地を所有しており長く住んでいたのだが、戦後、他界した後は誰もそこに住む者もいない。半年ごとに雑草取りに行くのが精いっぱい。そこで、ひょっとしてご興味があるのでは? とその土地に足を運んでいただいた結果、とても気に入ってくださり、そこに住んでいただけることになったのである。何という「ご縁」! 私たち家族も先祖代々の土地に息を吹き込んで下さる蓜島さんにとても感謝している。これもまた何かの「ご縁」である。
フランスのジャルダンが繋いでくれたこの運命のめぐり合わせ。何か不思議なものを感じる。とてもありがたいことだと思っている。蓜島さんは同じ農業の仲間でこの畑の所有者であり、また『鹿嶋パラダイス』を主宰する唐澤秀さんと鹿島神宮の参道で店を営んでおられる。採れたての自然野菜を使ったお料理は絶品だ。また昨年は収穫された自分たちのお米を千葉県に酒蔵を構える寺田本家に持参して『酒宴楽園 パラダイ酒』を造ってもらった。ここの杜氏は意欲的な方で世界のベストレストラン50の一位に輝いたデンマークの名店 “NOMA”のシェフ、レネ・レゼピもいち早く感動した『醍醐のしずく』というお酒を作っている。この酒にほれ込んだレネはデンマークの同店のメニューにも載せているほど。実は私の娘が今年の初めにNOMAがマンダリンオリエンタル東京に”仮の店”をオープンしたときのスタッフの一員として働いた経緯がある。その時にレネから「凄い日本酒!デンマークに持ち帰りたい」と言っていたのを思い出す。娘もこの酒にほれ込んでNOMAのスタッフたちと寺田本家を訪ねて何本か購入・・・。これもまた何かの「ご縁」かも。
良いもの・美味しいものには国境なんかない。デンマークと千葉県が結びついているのだから、茨城県鹿嶋と千葉県香取郡神崎町が県を超えて繋がるなんてわけないことだ。おいしいものを本当に追及している人たちがこれからもどんどん県を超え国を超えて繋がっていく。食物連鎖が取り持つ「ご縁」で私の人生もこれから、とっても豊かになりそうな気配・・・。うれしい!! 蓜島さん、唐澤さん、本当にありがとう。これからも末永くよろしく。そして、いつの日かジャルダンのヘンケルさんを鹿嶋にお呼びして『パラダイ酒』で祝宴を上げましょうね!!
写真 自分たちが耕す畑の前でポーズをとってくれた蓜島さんと唐澤さん、なんとなく兄弟のような雰囲気が漂うこのおふたり。「自然農業」という身体や環境にやさしい取り組みに、ふたりの笑顔から未来が透けて見える。