2014.07.28
2日目の晩はヨットハーバーに面するかつての倉庫とおぼしき赤レンガ造りの建物を改造した店「NOKKA」を訪れた。店の入れ口には「ヘルシンキメニュー」と書かれたステッカーが貼ってある。これは、マリアーナ・ネリマルッカさんという食ジャーナリストの話によれば、ヘルシンキ市内で約20軒ほどセレクトされた店にだけ許された表記で、フィンランドの旬の食材を使い、フィンランド料理の伝統を尊びつつ現代風にアレンジしたお料理を提供する店という定義だそう。メニューにも「V.I.P=Very Important Producers」や「Very Confidential Producers(非常に信頼できる生産者)」といった表現を使うなど、料理人と生産者の相性というものを最大限アピールしている。特に凍てつく冬の間は燻製・塩漬けといった保存食が中心のフィンランドだが、今回は夏の真っ最中、市場には様々なベリー系フルーツや茸、フレッシュなサラダ・ハーブと想像以上の豊富な野菜にはびっくり。「旬の食材が短いフィンランドでは、メニューもシーズンごとに変化に富んでいますよ! 」とNOKKAのサービスをしてくれた女性が教えてくれる。
6皿のメニューはこんな感じ。突出しはガスパッチョ風トマトの冷製スープ/前菜は淡水魚・鯉科の魚を燻製にして作ったちょっとこってり系のムース、ライ麦をベースにした固めのチュイルとホースラディッシュのスライスと共にいただく/魚の白子の入ったサヤエンドウのグリーンポタージュ/メインは子羊、弱火で蒸し煮にしたものとサーロインの部分を低温調理でほんのりと火入れしたもの、その柔らかさには目を見張る。カリフラワーと大麦をミックスさせた付け合せに肉汁をソースに/フィンランドのヤギのチーズ/お口直しのシャーベットは洋ナシの味、真っ白く冷凍にした御影石の小皿は時間と共に色が緑色に変化していく/真っ赤な苺とヨーグルト、フィンランド産の牛乳を使ったアイスクリームとメレンゲ。
ヘルシンキの町は短時間の間に「食の街」へと進化を遂げている。首都圏という地の利を生かしてフィンランド中の良質な生産者の食物が手軽に入手できるようになったことも一因だろう。だからこそ、作り手たちの意識も変わりつつある。みんな意欲に燃えている。生産者・料理人と” みんなでレベルを高めていこう ” 、そんな意識が芽生えていることを痛感した。ちょっと、ここ当分は目が離せない!
NOKKA Kanavaranta 7F 00160 HELSINKI FINLAND / tel: +358 9 6128 5600 www.ravintolanokka.fi