2014.07.26
いま、北欧の料理人たちが熱い。デンマークの「NOMA」が世界のベストレストランに選ばれて以来、近隣諸国の若手シェフたちも触発されているのだろう。次から次へと自由に伸び伸びと料理にチャレンジしている。それに加えて国が国策として観光業に力を入れているから、おのずと料理にも力が入る。そんなサポートを受けているせいか、どこも活気に満ち溢れている。という訳で今回は「食いしん坊」の旅に出かけてみることにした。ところが7月中旬からサマーホリデーに入っているところがほとんど。ちょっと残念だったが、それでも今回ディナーに訪れた「OLO」はなかなか興味深い店だ。フィンランドの首都、ヘルシンキの中心、港を前にした最高の立地。ガストロノミーのほかにもビストロも隣接している。店に入るや否やオープンキッチンでは大勢の若いスタッフたちが入れ替わり立ち代わり厨房とテーブルの間を行き来している。料理的には分子化学料理を実践しているが、その様子はまるでラボにこもっているかのよう、みんな料理に集中している。出来上がった皿は料理人自らが抱えて客の前に現れ、ひとつひとつ説明しながらサービスしてくれる。自分で作ったものだから思い入れも強いのだろう。サービス人と料理人がそれぞれ役割分担・・・という形態も、この国ではなくなりつつあるのかもしれない。
料理は全部で16皿。小さな鉄鍋に発酵させたパン生地を寝かせ、焼きあがるのに15分ぐらい。出来上がった熱々のパンも料理の一皿として登場するのにはちょっと参ったが、それだけパンにもこだわりたいのだろう。トマトと苺+ヤギのチーズにサラダ菜/マッシュルーム、ライムギのオートミール/コールラビ、人参、シイタケにチーズと野菜の盛り合わせがサービスし終わった後に、かのパンが焼きあがる。塩バターと一緒に熱々を食するのだが、一度に全部食べないと下げられてしまう。(ちょっと満腹になってしまう!!) メインは柔らかい子羊、タルタル風とあるが周りはほんのわずか火であぶってある。ポロねぎ、ホースラディッシュ、魚のハラワタ、オニオン、イラクサにホームメードのヤギのチーズを添えてとあるが、なかなか力のこもった一皿だ。次に魚はヒラメのグリル、キュウリと発酵させたインゲンでコーティング。仔牛とビーフの2種類の肉はとても柔らかくスライスしたビーツがほんのり甘い。デザートはリュバーブのアイスクリームとチョコレート/ヨーグルトのムースとサワーミルクのシャーベット、ウイキョウを乾燥させて飾りに。最後のミニ菓子はリカーがほんのりと香ばしい溶けてしまいそうなマシュマロ感覚のチョコレート、クランベリーを塩キャラメルで味付けしたものはちょっと日本の梅干しを連想してしまう。これでコースメニューが終わりを迎える。我ながら胃袋に「ご苦労さん!」と言ってあげた。
OLO Pohjoisesplanadi 5 oo170 HELSINKI FINLAND / tel: +358 10 320 6250 www.olo-ravintola.fl