2013.12.05
社会的弱者をビオ農業で就労支援するフランスのNPO法人『ジャルダン・ド・コカーニュ』のフォーラムが11月28-29日、トゥールーズ市内で開催された。すでにこのブログでも何度か紹介しているのでご存知の方も多いだろう。今年は「実りの多いアライアンス」をテーマに熱いディスカッションが交わされた。
不況による閉塞感は何も日本だけの問題ではなく世界中が直面している深刻な問題でもある。失業者の増加とともに人間関係もギスギスして、その結果、心の病を抱えている人や犯罪に手を染めてしまう人が後を絶たない。そこで新たな価値観による社会の仕組みをつくり、ひとりでも多くの人が自立できる環境づくりが急がれる。フランスは手厚い社会保障の福祉国家というイメージが強いが、ここ数年前から生活保護の割合を少なくして代わりにジャルダンのような就労支援をする組織に直接補助金を支払うという政策に国は傾き始めている。長い目で見ると、そのほうが社会コストが抑えられるという結果も出ている。それには国・民間企業・一般市民のつながりを今まで以上に強くして失業対策に真っ向から取り組んでいく必要がある。そんな視点で今回はディスカッションが行われた。
日本からも北海道の十勝で活動を行うNPO『あうるず』の代表、菊池 貞雄 氏も参加されてジャルダンの仕組みやフランスの自立支援策について大いに参考にしてもらった。菊池氏は3年ほど前に日本で発足した『ソーシャルファームジャパン』の事務局も兼任しておられ、「ソーシャルインクルージョンを進めるために商品のソーシャルインクルージョンを目指して障害者などが生産する品物がデパートにも置かれるような市場を目指しています」と語る。
社会的弱者の就労支援という大きな課題を介しながらフランスのジャルダンと日本のソーシャルファームが協力関係を構築し、また新たなビジネスにつなげていくことができたらと心から願っている。
写真 ジャルダンの代表を務めるジャンギィ・ヘンケル氏のスピーチで幕を開けたフォーラム。大勢の関係者で盛り上がった。「実り多いアライアンス」を今年のテーマに。ジョウロをイメージしたキャラクターが可愛いポスター。トゥールーズの市庁舎で副市長、アントワーヌ・モーリス氏と菊池貞雄氏と北海道バイオマスリサーチ株式会社の研究員、上田拓弥氏。ヘンケルさんと今年2月に日本財団の招聘で来日した私、久々の再会にうれしい!