2013.07.15

はじめて「シャトー・ラグランジュ」に行った――至る所に日本のエスプリが宿っている

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メドックのサンジュリアン村にある「シャトー・ラグランジュ」を初めて訪れたのは今年の2月21日。真っ青に晴れ渡ったボルドーの空気は凍てつくほど澄んでいた。ここのシャトーで最高級のワイン造りに挑むブレインたち。(右から社長のブルーノ・エイナール氏、すでに引退されたメートル・ド・シェのミシェル・レイモン氏、料理人のフレデリック・シモナン、副会長の椎名敬一氏) アーチ状の天井がとても美しい樽熟庫は奥行108メートル、幅11メートル、2011年と2012年のミレジムの赤ワインが3500~4000個の樽のなかで眠っている。6月の花祭りではこの場所で晩餐会が催される。1500名の世界中の招待客が一堂のもとに集まる光景を想像するだけでもドキドキしてしまう。

 

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ラグランジュのシンボルの3羽の白鳥たちはいつも一緒に優雅にシャトー前の池で泳いでいる。エイナール社長とシモナン・シェフの信頼関係こそが今回の晩餐会を成功に導いた。ラグランジュのブドウ畑は丁度、剪定作業が終わったところだった。春の訪れが待ち遠しい。

 

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「フェット・ド・ラ・フロール」の準備のために行われた第一回目の会合、メドックワインを束ねる「コマンドリー・ドュ・ボンタン」の代表者、設営を担う「コット・ウエスト」、そして料理を担当するケータリング会社「モンブラン」、パリからも「サントリー・フランス」の関係者など今回のイベントのキーパーソンが全員顔を揃えた。入念にシャトーの位置関係をチェックして、どんなフェットが理想的であるか話し合いが行われた。

 

2013年2月21日、はじめて「シャトー・ラグランジュ」を訪れた。パリからサントリー・フランスの三宅智子さん、今回の設営・進行を日本とフランスの間にたって任されているプロデューサーで本当に凄腕のwooさん、そしてシパリの1ツ星シェフのフレデリック・シモナンさんと、その道のバリバリのプロフェッショナルたちと早朝のボルドー行の飛行機に乗り込んだ。いよいよ、このビッグプロジェクトがスタートしようとしている。そんな実感を覚えながら身が引き締まる思いだ。雲ひとつない真っ青に晴れ渡ったラグランジュはとても美しかった。18世紀の白亜の建物が太陽の光で余計にキラキラと輝いている。敷地は157ha、その周りを取り囲むようにして117haのブドウ畑が広がる。白ワインを生産するブドウ畑はそのうちの4ha、ソーヴィニヨン・ブラン60%、セミヨン30%、ミュスカデル10%。一方赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン65%、メルロー28%、プチヴェルド7%の比率で植えられている。多くのシャトーが複数の区画によりワイナリーが点在しているのと違い、ラグランジュは一カ所に集まっているのが特徴だ。

きれいに剪定されたブドウ畑、アーチ型の樽熟庫や広大なシャトーを見学したとき「ここには日本の魂が宿っているね。張りつめた空気、隅々まで手入れの行き届いたブドウ畑、最新の技術に裏打ちされたステンレスタンク・・・そのどれもが日本人の繊細で几帳面な一面が伝わってくる」とシモナン・シェフ。私もそう思う。そして改めて日本人であることに誇りを抱く。きっとメドックの他のワイナリーたちもラグランジュをそんな風に認めているのではないかと思う。どんな花祭りが繰り広げられるのだろうか? この時点ではまだ誰ひとりとして知る由もなかった。

 

 

vin et culture (2013.07.15)  |  未分類  | 

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  • 南谷桂子
    vinetculture@wanadoo.fr
    フランス在住
    株式会社ワインと文化社
    代表取締役・ディレクター

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