2012.11.10
昨年に引き続き今年もホテルオークラ東京に於いて『進化するパリのフレンチ~ フレデリック・シモナン再び来日』が開催された。一週間のフェア期間中、昨年来てくださったリピーターのお客様や会期中に何度も足を運んでくださった方たちのおかげで470名を集客し大盛況のうちにフェアも終了した。
今年は日本の食材を使った「健康志向」をテーマにしたメニューもスペシャルに造ってもらい、また新たな領域に一歩足を踏み入れたフレデリック。特に備長炭をつかった「炭火焼き」に並々ならぬ関心を示していた彼はスティームコンベクションで事前に温めておいた真鱈の仕上げに炭火でさっと火を通してスモークの香りがほのかに漂う一皿を完成。早速パリのレストランでも備長炭を使いたいとちょっと興奮気味。薪が主流のヨーロッパの火入れに対してじっくりと長時間かけて火を入れることができる備長炭からは様々なレシピがひらめいた。「日本の食材は驚きの連続だ!」。そういう彼はカワハギの独特な触感にはカルパッチォ風、脂ののったキンキは炭火焼が一番、日本の栗やゴボウを付け合せにして秋の味覚を表現。またオレンジ色に統一されたかぼちゃのヴルーテは見た目にも鮮やかな一品。王道を行くフレンチの技術をベースにもつ料理人だからこそ、その日本食材へのアプローチの仕方も全く違う。はたして彼の料理がこれからどんな風に進化していくのか? そんな予感をさせてくれるとても楽しみな一週間のフェアだった。
(写真) 毛ガニをつかった赤大根・紫大根のラビオリ風。まるでバラの花びらが満開にひらいたかのような一皿はフレデリックの料理人としての軌跡の集大成でもある。