2012.05.06
あと数時間で仏大統領選の結果がわかる。投票率は83%(opinionway 統計)という予想で、メディアは現在進行形でその推移を逐次、伝えている。それによると、すでに午前中の投票率は第一回目に比べて6~7%も多いという。いかに国民が政治を変えようとしているのかが伝わってくる。失業・移民・国家債務と膨大な問題を抱えるフランス。この5年間、サルコジ政権に期待していた国民は”裏切られた”という感情を抱いている。それは4日前に行われた恒例のTV討論会でもオランド社会党候補がリードしていることからも窺える。
しかし、サルコジ大統領の5年間の任期のうち、米国のリーマンショックにはじまり、ギリシャの債務問題から端を発したユーロ安、EUの弱体など、その4年間は世界情勢が原因による景気の悪化だ。直接、サルコジ政権が原因とは言えない問題ばかりだ。しかし失業率を5%以内に抑えるという公約が現在では10%近い数字に跳ね上がっているのは必ずしも大統領と無関係とは言い切れないかもしれない。
しかし「強いフランス」をスローガンにしているサルコジ現大統領は経済の活性化・労働によって国力を維持して世界に誇れるフランスを目指そうとしている。また年金改革に大胆なメスをいれたことも忘れてはならない。しかしオランド社会党候補が政権をとれば富裕層への課税、福祉重視という、スペインやギリシャの二の舞になりかねない。どちらを選択するのか? フランス国民にとっても慎重な決断を迫られている。
フランスの知性、フランスアカデミー会員のジャン・ドルメッソン氏はサルコジ大統領を最もよく知ってるひとりだが「これほど国民にたたかれ、誤解されている大統領も珍しい。しかし彼の最大の長所は”トレランス=寛容性”だ。・・・・ 大統領任期中に野党から人気政治家をスカウトして大臣に抜擢したこともある。それは彼の寛容性からきてるものだが、しかし結果的には間違っていたこともすぐに学ぶ能力を持っている・・・・」と手放しで評価する。
そんなヒューマンな素顔のサルコジ氏はあまり日本のメディアでは伝えられていないかもしれない。あと、数時間、はたして結果がどうなるか? 最後の最後まで予断を許さない。
4日前にTVで放映された3時間にわたる恒例の仏大統領候補のガチンコ討論会。 ( 写真 France 2 )