2012.05.04
5月1日はメーデーの日。フランスではスズランの花を贈る習慣がある。町のお花屋さんだけでなく、この日だけは誰でもが街頭で販売することができる。今年は2ユーロという値段がついた。実はこのスズランの値段、その年の物価を示すバロメーター。今年は低温多雨だったことから、ちょっと高め。昨年と比べて5%もアップした。一枝に13個の白い花がついているのが「幸せを呼ぶ」のだそう。
スズランを贈る習慣は1561年にさかのぼる。フランスの王様、シャルル9世が側近に”しあわせを願うため”に贈りはじめたのが始まりだとされる。その後、19世紀になってからはパリの郊外、フォンテーヌブローの森やムドンの森を散策していた人たちが自然のスズランを摘んで家族や友人に贈るというシンプルなものだった。それがいつの間にか「5月1日はスズランを贈ろうデー」みたいな国家的イベントになってしまった。バレンタインデーにチョコレートを贈るみたいに。
だからメーデーでバスチーユ広場までデモ行進する血気盛んな労働者たちの胸にはスズランの花が輝いている。赤旗を振って強硬に権利を主張する彼らフランスの労働組合員たちと可憐なスズランの花。これほど不釣り合いなものはない。