2012.03.09
パリ17区の我が家の自宅前には「リセ・カルノ」という公立の中・高校がある。元大統領のシラク氏の母校だけあって卒業生名簿にもそこそこの有名人の名を連ねる同区では進学率抜群のちょっとした名門校でもある。そんなリセのコスプレ・カーニバル「カルノ・パル」(これ、フランス流ダジャレ)に出くわした。
こんな力士ならちょっと格闘(!)してみたいカワイイ女子学生や、ゴス系ロリータ風、ドラキュラ系、ヴェニスのカーニバル風、顔を真っ黒く塗りつぶした穴居人やバンドデシネ(漫画)の主人公シュトロンフ・・・と、ちょっと意味不明な集団などなど、オリジナルなコスプレにみんなとても満足そう。「何でこんな恰好してるの?」って尋ねたら、学校恒例のコスプレカーニバルなんだとか。
それにしてもフランスのジュネス(若者)のパワーには圧倒させられる。世界一人件費の高いフランスではなかなか若者を正社員として雇うことは厳しいお国柄。”若者にも雇用のチャンスを!”と企業に呼びかけながらも、いつでも解雇できるちゃっかりシステムを提案した首相自らの制度に真っ向からノンを唱えた高校生たち。校門の前にバリケードを張り授業をボイコットするという強硬な手段に訴えて、とうとうこの制度を廃止させるところまで行動で示してしまった彼らたち。
最近26歳の社会学者、古市憲寿著の『絶望の国の幸福な若者たち』(講談社)を読んで目からうろこ状態の私だったが、日本の若者たちの「優しさ」に不気味さを覚えながらも、しかし一方では平和的に自分たちの主張を繰り返そうとする今どきの日本人特有の表現方法 (「諦めてる」という見方をする人もいるけれど) と、このフランスジュネスのように権利を手に入れるためなら徹底交戦も辞さない姿が対局的にオーバーラップする。
団塊の世代の高齢化社会を迎えている日本だから毎回、飛行機のタラップを降りるたびに「加齢臭」を感じるのも仕方ないことだが、それにしてもメディアも社会風潮も高齢者の声ばかりを取り上げていないで、もっともっと日本のジュネスに声を上げれる機会を作ってほしいと心から願っている。古市さん、頑張ってください!
写真 パリ17区「リセ・カルノ」のコスプレの若者たち。