2011.11.01
毎年、この時期になると世界中の”白トリュフ愛好家”はソワソワしてくる。イタリアのピエモンテ州にあるアルバの『白トリュフ祭』が始まるからだ。今年は10月8日から11月13日までの毎週末、この町のメインストリートには世界中から訪れた観光客や取引業者たちで町は何十倍にも膨れ上がる。しかし、今年は天候不順で白トリュフの収穫が芳しくなく、その分、値段が高騰。小指の第一関節ぐらいの小さな塊ぐらいの白トリュフが何と10ユーロもする。まさに一般庶民の年に一度の楽しみも、ちょっと高根の花だ。
アルバから16キロぐらい西に走ったところにブラと呼ばれる小さな町がある。まさにスローフード発祥の地でスローフード大学と呼ばれる食文化大学もある。スローフードとはその土地で採れた自然の慈味を生かした食材や伝統的な味を継承しようと生産者が手塩にかけて作った食の文化を守ろうというムーブメントだ。1989年に食文化雑誌の編集長をしていたパオロ・ペトリーニ氏が提唱したもので、「守る・教える・支える」をモットーに、今では日本をはじめ世界的な広がりを見せている。
そのスローフードが誕生した記念すべき店がブラの市街地にある。『ボッカンディヴィーノ』と呼ばれる店で、そこで”白トリュフメニュー”をいただいた。最初から最後まで白トリュフ尽くしと何とも贅沢だが、中でも”タヤリン”と呼ばれる家庭的パスタは日本風にいえばちょっと焼きそば風の細い麺。バター&オリーヴであえたものに上から白トリュフをぱらぱらと散りばめただけのシンプルなものだ。しかし、その美味しさといったら麺好きな日本人には夢のような一品。イタリアは食材の美味しさを出来る限り手を加えずに美味しくいただこうというシンプルな料理がメインだ。
今回の私たちのスローフードの旅はイタリア産白トリュフとフランス産キノコを食べ比べるのがテーマ。題して『イタリア対フランスの茸対決』。果たして勝者はどちらの手に?
写真 アルバの市場に並ぶ白トリュフのお値段。蝸牛を模ったSlow Foodのシンボルマーク。タヤリンの白トリュフ尽くし。