2011.10.11
パリの料理シーンはどこもエキサイティングだ。しかし、そんな華やかさの裏側ではシェフたちの孤独が支配している。ここはフレデリック・シモナンの厨房。昨年、2010年4月、パリの凱旋門にほど近い17区に『レストラン フレデリック・シモナン』という自分の名前を看板に掲げた。そして、今年2011年、3月発刊のフランス版ミシュランでは早くも1ツ星を獲得。オープンして1年目の快挙である。
ロブションの愛弟子として頭角を現し始めたのは「ラ・ターブル・ド・ジョエル・ロブション」を05年に1ツ星に、続いて06年には2ツ星に昇格させた。そして「アトリエ・ド・ジョエル・ロブション」のパリ店だけではなくロンドンの同名店や「ラ・キュイジーヌ・ド・ジョエル・ロブション」も1ツ星~2ツ星へと昇格させた本格的実力派だ。勿論、ここに辿り着くまでの彼の努力や修行たるや中途半端ではない。15歳で料理人を志して以来、彼は一流シェフの厨房だけを回り続けた。ホテル・ムーリス、ルドワイヤン、タイュヴァン、フォーシーズンズ・ジョルジュサンク・・・。まるで料理の霊に取りつかれたかのように、各メゾンのシェフたちから技術やエスプリを吸い取り紙が水を吸い込むようにすべてを吸収していった。
ここ数年来、若手料理人たちはビストロ系に走る中、ひたすら彼はガストロノミーだけを追い求めてきた。そんな彼の姿は若かりし頃のロブション氏に重なる。”シェフというものはどんなに忙しくても、またどんなに売れっ子になっても、ひとりになって毎日、厨房で試作し続ける事が大切だ”。そんなロブション氏の言葉を今、彼は毎日、実践している。
写真 フレデリック・シモナンの厨房にて。今年11月28日~12月4日まで、ホテルオークラ東京に於いて彼の料理フェアを開催。シモナンシェフと一緒に来日します。どうぞ、よろしく。