2011.09.20
DSKことドミニク・ストロース・カーンが9月18日、20時のTF1のTVニュースで「真相」を語った。”元国際通貨基金(IMF)総裁がNYのホテルでメードにセクハラで逮捕!”という信じがたいニュースが世界中を震撼とさせたのは今年の5月。次期大統領候補ともいわれた彼のスキャンダルは辛辣なメディアのかっこうの餌食になった。はめられたのか?それとも無防備すぎたのか?それともアメリカという国を「なめていた」のか?
TF1のTVニュース始まって以来の高視聴率だったその晩、パリっとしたダークスーツにボトックスで顔を整えたのか(?)、あのいつもの左目がちょっとつぶれたような形相とは打って変わってフレッシュな印象だ。画面に登場するや否や「まずは家内や家族に多大な心配をかけた。そしてフランス国民にも。」―――日本人の感覚としては「まずは国民のみなさんに多大な迷惑をかけた。深く謝罪する。」からはじまってもいいだろう!と、スタート時点から違和感を覚える。「自分はモラルを誤った」「起きたことに対して深く反省する」といった言葉を口にしながらも、何度もヴァンスジュニア米国検事の報告書を右手で振りかざしながら饒舌にまくしたてる。「あってはならない関係を結んだ・・・しかしレープした訳でもなく暴行した訳でもなく犯罪には至らない」と結論付けたその報告書をもとに、自分は無実だと言わんばかりの勢いに元弁護士だけあって、その語り口は理論的であり、時々裁判用語を駆使するあたりはさすがと言わざるを得ない。なんか国民は置いてきぼりを食ったような感じ。”やっぱり自分たちとは違う所で事が処理されているんだ!” という感覚を抱いたのは私だけではなかっただろう。
しかし大統領としての政治生命を棒に振ってまで”ホテルのメードに手を出す人間”にフランスの将来を託そうとした仏国民は難を逃れたと言ってもいいだろう。「大統領選に出馬することはもはや考えられない。・・・しかし、今まで自分の人生はすべて国家のために奉仕してきた。政治家として復活するかどうか・・・それは未来が決めてくれるだろう。」と締めくくった。果たして日本だったら、こんな会見に国民はどう思うだろうか?
写真 TF1のTVニュースに生出演したDSK (Le Figaro)