2011.07.01
アフガニスタンのタリバンに人質にとられていた仏国営TV局「FRANCE3」のジャーナリストふたりが29日、無事に解放された。18ヵ月、547日間。その間、昼夜をとわず毎日TVのニュースで”私たちはあなたたちのことは忘れない”とメッセージを送り続けてきたから一般人にもふたりの存在はかなり知られていた。そんなニュースが全国に流れるや否やフランスがひとつになった。国会では左・右と関係なくスタンディングオーペーション、「FRANCE3」の会長は水面下で尽力してくれた関係者全員に深謝、そして何より彼らの家族は喜びの涙に肩を抱き合いながら「絶対に戻ってくると信じていた」と語った。そんな光景を見ていたフランス国民は次々にツイッターやSMSなどで感動を伝へ、ソーシャルネットワークの輪はどんどん広がり、それはひとつのムーブメントにまで発展した。昨年のあのチュニジア革命を思い出す。
フランス時間の30日、AM8時50分、ヴィラクープレーにある軍用基地に降りたふたりは家族や大統領夫妻に迎えられた後、メディアの前に現れた。かなり痩せてしまったものの547日間抑留されていたとは思えないほどのタフな姿。まるで立て板に水のごとく言葉が流れ落ちる様子をみていると、18ヵ月間拘禁されていた反動やジャーナリストとして「報告する」使命感にあふれた現代の若者そのものだった。
「拷問や殺されるといった危機感は一度も無かったが、朝から晩まで何もすることのない毎日、8ヵ月間ふたりとも別々に隔離されていたことは辛かった。・・・そして何よりもガイドとして同行してくれたアフガニスタン人の友人には、今夏フランスで是非ともバカンスを過ごしてもらいたいと心から願っている・・・・」。バカンスをご褒美に、と考えるこのふたりに「日本の記者会見では絶対にあり得ない発言。あァ、やっぱり頭の先から爪の先までフランス人なんだな!」と日本人の私は思った次第だった。
写真 記者会見に臨む元人質のふたりの仏人ジャーナリスト