2010.06.21
今のフランスが抱えているすべての問題―移民・教育水準の低下・国に依存する国民の体質・利己主義―それがサッカーという形で一気に噴き出した感じだ! しかもワールドカップという世界の祭典の真っ最中で。
それにしても・・・・である。
事の起こりはメキシコ選で完敗した辺りから雰囲気がにわかに悪化したことが原因だ。メデイアが一斉攻撃したのは前回も書いた通りだが、試合終了後、更衣室内で選手たちが不満をぶちまけていた時に、ひとりの選手が監督を侮辱する発言をしたことが外部にいるはずのジャーナリストの耳に入りスクープへ。それに激怒した仏サッカー協会の会長がその選手を即刻クビ。まだ、来週、南ア・チームとの試合がひとつ残っているにも拘らず、である。
監督が事態を収拾しようとするも、すでに監督と選手の信頼関係は完全に破綻している。そこへサッカー協会の制裁に不満をもらした選手側はストに突入。昨日の練習をボイコットした。これが分別ある大人の対応と言えるだろうか?
それはサッカーというものが商業化され、選手がスターシステムにのし上がり、巨大な富をもたらしてくれるスロットマシーン化している現実が浮かびあがる。スターになった選手たちは、もはやサッカーが純粋に人々に与える感動とかスポーツ精神といったものとは程遠い商品化された現実を、自らが公表してしまったようなものだ。しかも、彼らに少しでも「知的な」判断力があれば最悪な事態は避けられたはずである。これではスポイルされたバカ集団以外のなにものでもない!
それにしても子どもたちに夢を与えてくれるサッカー、人種を超えた連帯感、スポーツのもつ健全さ・・・それはいったいどこに行ってしまったのだろう。そんな夢を全て否定するような今回の成り行きには腹立たしさを超えて呆れるばかりである。1998年にフランスチームを勝利に導いた選手の一人、エマニュエル・プチがTVでこう言っていた。「サッカー精神のヘリテージュ(共有財産)はもう完全に失われてしまった! 」と。
(写真 Le Parisien ストに突入したフランスチーム)