2010.06.19
「もう話しにならない!」「ペテン師」「ぶざま」「アウト・オフ・アフリカ」・・・・。金曜日の朝刊の見出しは一斉にフランスのサカーチームのこき下ろしで埋まった! 今までのたまっていた鬱憤をこれ見よがしに晴らそうとしているのはみえみえ。もう監督やチームに対する侮辱の応酬と化している。でも、そう書かれても仕方ないのは事実だ。木曜日の夜行なわれたフランス対メキシコ選は0:2。その前に行なわれた一回選でもフランス対ウルグアイは0:0。まだ1点もゴールしていないフランスチームに業を煮やし苛立ちを隠せない。はるばるパリから大金を払って応援に駆けつけたファンのひとりは、「もう、今日の飛行機で帰国する!」と怒りをぶちまけていた。当然、監督のレイモン・ドメニックに対する非難はちょっとやそっとのことでは収まりそうにもない。今から彼がフランスに帰ってくるのをサッカー協会は勿論のこと、関係者はみんな手ぐすね引いて待っている。国民だって怒りのはけ口を彼らに向けるだろう。今からちょっと怖い。
それにしても今回のワールドカップ、すべてが異常だ。まず監督の人間性や資質に対する疑問。試合の直前ギリギリで選手を交代させてみたり、戦術をアレコレ変えたりすることに選手自身がキレテすでにチームとして監督との信頼関係が失われていた。それがメキシコ選ではみえみえ。選手自体にまったく覇気がなかった。それだけじゃない。試合前の合宿しているときにも、選手たちがとてもナーバスになっている時期に、「リベリが未成年の娼婦を買った」とゴシップ誌が取り上げると、別の週刊誌がその娼婦を表紙に載せて「暴露」する始末。それだけじゃない。青少年スポーツ省の政務次官は「フランス・チームの宿泊先ホテルが南アでは一番高級なデラックスホテル。身の丈知らず!」と一蹴。(後日談があって、この政務次官、実は当初は青年会館みたいな所に宿泊する予定だったのだが、この一件で自分も一泊、8万円ぐらいのホテルに変えたらしい!) なんとなく健全なスポーツという雰囲気よりも安っぽいソープオペラを見せられているような感じで、とても不愉快だったのは私だけじゃなかった筈。
「そんなフランスチームを応援しようという気にもならない。フランスなんか負ければいい。フランスといっても選手たちは黒人ばかり。彼らはラ・マルセイエーズ(国歌)を歌おうともしないし、フランスに対する忠誠心なんか、これっぽちもない。そんなチームに誰が期待なんかするものか!」。そんな声があちこちから聞こえてくる。なんかちょっと淋しいワールドカップである。
(写真 Le Parisien メキシコに完敗した直後のフランス・レ・ブルー・チーム)