2010.04.05
フィギュアスケート世界選手権がイタリアのトリノで行なわれた。高橋大輔選手と浅田真央選手がダブル優勝したニュースは、きっと日本全国を稲妻のごとく駆け巡ったに違いない。なかでも高橋選手は257,70点と今季世界最高点を記録したから文句なしの金メダルだ。
それにしても日本の選手たちは、こちらイタリアやフランスではとても評判がいい。キビキビした動作や礼儀の正しさ、そしてなんと言っても基本技術をしっかりと身につけた練熟した演技はもう圧巻だ。長野オリンピックでブレークした仏のフィリップ・カンデローロは現在はスポーツキャスターとして活躍しているが、浅田選手とキム・ヨナ選手が対決する時には「僕はMAOがまだ15歳の頃から知っている。彼女の才能・努力にはほんとうに脱帽。だからMAOを絶対に応援したい!」と、あたりはばからずに公言していた。一方、別の仏の女性キャスターは高橋選手の大のお気に入り。金メダルを取ったときの彼女の興奮ぶりといったら、それはもう赤面してしまいそう。彼女は高橋選手がどんなに転んでもミスをおかしても絶対に批評などしない。だから他のキャスターたちも彼女の前では高橋選手の批判など絶対にできない雰囲気なのだ。
公平性を求められるスポーツの世界においてキャスターたちがこれほどまでに個人の好みを電波という公共性あるメディアで発言してもいいもんだろうか?ちょっと首をかしげてしまう。しかしスケーターとしての最高の演技で華麗に演じる日本人選手たちの姿は例えファンでなくとも一度、間近に見れば、すっかり虜になってしまう。これぞフィギュアスケートのマジック、いや日本人特有のしなやかさと柔軟さのパフォーマンス、フィギュアというスポーツの醍醐味だ。そんな日本人選手たちの堂々とした姿を目のあたりにして、ああ日本人よ、もっと胸を張って世界に誇ろうじゃないか!もっと自信をもっていいんじゃないか!と、思わず叫んでしまったトリノでの出来事だった。