2013.03.03
ボルドーのグランクリュといえば、その響きを聴いただけでも垂涎ものだ。1855年のメドック格付けにおいて3級に格付けされた「シャトー・ラグランジュ」を訪れる機会があった。雲一つない青く晴れ渡った空、ラベルにもなったこの白亜の殿堂はすでに17世紀頃のワイン地図にも記載されているという。1842年にはルイ・フィリップ朝において内務大臣などを歴任したデュシャテル伯爵が所有者となり、その後も複数のオーナーの手に渡った。しかし財政難から畑は荒廃し、ブドウの品質も低下していったと説明書には書かれている。そこで1983年には現在のオーナーでもある日本のサントリーが買い取り、ブドウ栽培やワイン造りを一から見直して品質向上を目指し、今では秀逸なワインを生産するまでに至っている。
ブドウ畑というのは土地の管理上あちらこちらに点在しているのが普通だが、ラグランジュの場合は作付面積117haが一カ所に集約されているという稀なケースだ。それだけに畑の手入れは入念だ。摘み取ったブドウもコンピューター制御された機械で選り分けられ、上質なものだけが集約されてステンレスタンクに醸造される。
今年はサントリーがオーナーになって30周年を記念して6月20日の「花祭り」では1500名の着席ディナーがワインセラーのなかで開催されようとしている。果たして日本とフランスの文化交流を記念したセレモニー、どんなサプライズが待っているのだろうか? 今から楽しみだ。